2021年 三木谷浩史氏 「日本企業が競争を勝ち抜くためには、多様な人材が必要」
一般社団法人 新経済連盟(代表理事:三木谷浩史、以下「新経連」)は、2021年1月1日(元旦)、年頭所感を次の通り発表した。
一般社団法人 新経済連盟を代表して、新年のご挨拶を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表すとともに、御遺族の方には衷心よりお悔やみ申し上げます。また医療・介護関係者の皆様の献身的なご尽力に対し心より感謝申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症拡大が、グローバル化が進んだ我々の社会に大きな課題を突き付ける年となりました。また世界でデジタルの活用が当たり前となっているなか、日本のデジタル化の遅れを明らかにした年でもありました。
この未曾有の危機に対し、新経済連盟としても、リモートワークの推進、ソーシャルディスタンス啓発活動、国内外の情報共有と注意喚起などを通じて、一連の政府の取り組みに全面的な協力を行って参りました。また、「新型コロナウイルス感染症への対策に関する声明」、「緊急事態宣言も見据えた日本経済救済パッケージ施策」等を公表し、医療検査体制の拡充と経済活動の両立を呼びかけるとともに、オンラインによる診療・服薬指導・教育の実現など、デジタル技術を活用した解決策を提案して参りました。私ども新経済連盟は、新型コロナウイルスによる大きな危機を変革のチャンスと捉え、官民が一体となって日本のデジタルトランスフォーメーションを促進するため、経済団体として今後も力を尽くして参る所存です。
AI、5G、IoT、ブロックチェーン等の実装がさらに進み、デジタルとインターネットがあらゆる産業と消費者にさらなる変革をもたらす時代が、既に現実となっています。こうした時代において日本企業が競争を勝ち抜くためには、日本からの価値創出を後押しする環境と価値の源泉となる多様な人材が必要です。新経済連盟は、2012年の活動開始当初より、イノベーションとアントレプレナーシップ、そしてグローバリゼーションを活動の理念として掲げてきましたが、中国やインド等の新興国の台頭など、日本を取り巻く環境が一段と変化するなか、日本政府にはイノベーションを促進する政策を強力に推進することを期待しています。また、世界に打って出るというチャレンジ精神を持った「実業家」やスタートアップを政策的に後押しするとともに、成長産業を担う新しく優秀な人材を海外から呼び込むことも、引き続き政府に働きかけて参ります。
菅政権が発足直後に表明した政策の目玉であるデジタル庁が、いよいよ本年秋にも設置される見通しです。このデジタル庁を司令塔として進める日本の「デジタル革命」は、150年前の明治維新、75年前の戦後改革に匹敵する規模と意義を持つものと、私どもは捉えています。これほどの改革を推し進め、日本社会全体のデジタル化を実現するには、過去の慣習に囚われない柔軟でオープンな発想で、組織を作り、人材を集め、そして技術を活用していく必要があります。間もなく始まるデジタル庁設置法案や関連法案の国会審議を注視しながら、新経済連盟は必要な政策提言を積極的に打ち出して参ります。
来年2022年、おかげさまで新経済連盟は活動開始から10周年を迎えます。私どもは本年をそれに向けた助走期間と位置づけ、基本政策『Japan Ahead 2』で示した日本の成長戦略にさらに磨きをかけ、ポスト・コロナの時代を切り開く新しい力として、引き続きその役割を果たして参ります。
本年も皆様の変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2021年1月1日
一般社団法人 新経済連盟
代表理事 三木谷浩史
https://jane.or.jp/
● text by EeNa