葛西紀明は監督としてもレジェンドだった。教え子の小林陵侑が世界一の選手に
冬季五輪世界史上最多8度の出場を誇る、葛西紀明選手(48歳・土屋ホーム)。葛西は現在48歳であるが、「衰えを全く知らない」という。当面の目標は、2022年北京五輪に出場し、金メダルを獲得することだ。
葛西がレジェンドと呼ばれる所以
葛西は長年に渡って世界の舞台で活躍をし、ギネス世界記録を5つも達成している。
【葛西のギネス世界記録】
①FISスキージャンプW杯個人最多出場488回(現在569回)
これまで日本代表選手としてW杯に569回も出場し、優勝17回、2位13回、3位33回という輝かしい記録を残している。この先、葛西の超人的な出場数を超える者が現れるとは考えられない。
②FISノルディックスキー世界選手権ジャンプ部門(個人)最多出場12回(現在13回)
個人として3位2回、団体では2位2回、3位3回を記録。
③冬季五輪最多出場7回(現在8回)
1994年のリレハンメルで団体3位、2014年のソチで個人2位と団体3位を記録。
④冬季五輪最年長スキージャンプメダリスト 41歳256日
⑤W杯最年長スキージャンプ優勝 42歳176日
強烈な存在が葛西を駆り立てる
2018−2019シーズン、葛西が選手兼監督を務める土屋ホーム所属の小林陵侑(24歳)が、W杯総合優勝を成し遂げた。これは、スキージャンプ日本男子初の偉業となる。小林は前シーズンW杯一度も表彰台に立てなかったが、パワーを最大限に発揮しながら垂直方向に高くジャンプできるようになると、世界のトップに躍り出た。
小林の存在は葛西にとって脅威であるようで、「小林にアドバイスはしていません。彼が困って相談してくるまで何も言いませんし、僕も負けません(笑)」と言うほどだ。
スポーツ界で前代未聞とも言える師弟関係が、世界一の選手を生み出した、ということを考えると、葛西とは一体何者なのだろうか?ますます謎が深まるばかりだ。だが、これだけは言える。葛西は監督としても、レジェンドなのだ。
今後どのような道を進むのか
葛西は、9度目の五輪出場となる2022年(北京)に50歳を迎える。目標は金メダル獲得で、この先どのような厳しい試練が待っていようとも、受け入れる覚悟ができているという。
そして、11回目の出場となる2030年五輪の開催地が、現在の本拠地「札幌市」となる可能性が高い。その年に葛西は57歳を迎えるが、少年のように走り続けるレジェンドに、引退の2文字は相応しくない。
常に成長を求める葛西。戦いは、まだまだ続く。 (了)
● text by EeNa