朝はしっかりごはんを食べよう!農林水産省が提案する「和ごはん」のススメ
サッカー少年・少女のエネルギー源になる食事。なかでも、朝ごはんの大切さは広く知られています。しかし「朝は食欲がない」「時間がなくて食べられない」などの意見があるのも事実です。
そこで今回は、農林水産省が立ち上げた「Let’s ! 和ごはんプロジェクト」を紹介します。日本の伝統的な食文化を通じて、心と体の健康、そしてサッカーの上達に役立ててみてはいかがでしょうか?(取材・文 鈴木智之)
■Let’s ! 和ごはんプロジェクト
「Let’s ! 和ごはんプロジェクト」は、忙しい子育て世代やお子さんたちに身近・手軽に「和ごはん」を食べる機会を増やしてもらうため、企業等の新たな商品の開発、子ども向けメニューの展開などを促進する取り組みです。
桂武弘さん(農林水産省食文化室 食文化専門官)は「このプロジェクトを通じて、味覚が形成される子どものうちに、和食の味や食べ方を体験する機会を増やし、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化の保護・継承につなげていきたいと考えています」と話します。
日本の伝統的な食文化である和食は、砂糖や醤油、塩、味噌、出汁などを使い、ヘルシーで素材の味を生かした調理法によって作られています。「和ごはん」は、和食の要素を含んだ食事のことで、カジュアルな和食をイメージしています。大げさなものではなく、白いごはんにお味噌汁があるだけでも立派な「和ごはん」なのです。
「和食というと調理が難しいのでは?というように作る側のハードルが上がってしまうので、和ごはんという言い方をしています。子育て世代の方々は忙しいので、外食や中食でも和食に親しむ機会を作りましょうといったことや、調理する際には、手軽に作ることができるんですよという情報をお伝えしていきたいです」
農林水産省では、和食で子育て応援サイト『おうちで和食』を立ち上げ、家庭でかんたんにできるレシピを紹介しています。さらにはYouTubeの『BUZZ MAFF』チャンネルを通じて情報発信をするなど、ユニークな取り組みを広げています。
■朝ごはんをしっかり食べよう
サッカー少年・少女のいる家庭の場合、昼は学校で食べ、朝と夜に家で食事をすることが多いもの。そのなかで、朝は和ごはんを取り入れる、絶好の機会です。
「朝ごはんに、お米と具だくさんの味噌汁を食べるのはいいですよね。朝起きてすぐに固形物を食べるのを嫌がるお子さんも、味噌汁の中に野菜やお肉などが入っていれば、食べやすいと思います」
成長期のお子さんにとって、朝ごはんはとても重要です。サッカーをする子の場合、運動に使うエネルギーと体の成長のエネルギーの両方が必要で、朝昼晩、ときには補食をとって十分に摂取することが望ましいと考えられています。
また長時間空腹でいると、血糖値が低くなることによるイライラや無気力など、心の疲労につながります。食事は体作りにも大きな影響があるので、成長期のお子さんはしっかりと食事をとり、エネルギーを満たしたいところです。
「文部科学省の令和元年度 全国学力・学習状況調査によると、朝ごはんを毎日食べている子の方が、学力調査の平均正答率が高いことがわかりました。朝ごはんを食べることで生活のリズムが作りやすく、朝から元気に活動できるのだと思います。サッカーをしているお子さんはしっかり朝ごはんを食べてもらって、勉強もスポーツもがんばってほしいと思います」
■和ごはんを取り入れよう
食生活の欧米化が進む昨今ですが、和ごはんは子どもの食育にもつながります。たとえば、旬という考え方。スーパーに行けば、季節に応じて異なる野菜が陳列されています。地元で採れる野菜や産地の違いなど、食べ物を通じて地域の文化も知ることができます。
目で見て、舌で味わう。これも食育です。桂さんは「個人的な意見ですが…」と前置きをした上で、次のように話します。
「幼い頃に一定程度集中して、出汁などの微妙な味を舌に味わせることは、味蕾(注・味覚の受容器)の発達につながると考えられます。素材を大切にし、多様な食材をバランスよく食べることができる和食に親しむことで味覚の発達にも良い影響があるのではと感じています。濃い味つけのものばかりを食べていると、素材の味がわからなくなったり、微妙な味わいの良さを感じにくくなることも考えられますので、日頃の習慣が大事なのかなと思います」
日本は世界でのトップクラスの長寿国です。日本の長寿には日本人の食生活もかかわりがあると考えられています。たとえば多様な食材をバランスよく摂取できたり、出汁を使うことで、調味料をそれほど使わなくても味がつき、油分を控えることもできます。このような日々のちょっとした工夫が、長い目で見ると健康につながると考えられます。
「人間は砂糖や油、塩など、味の濃いものが好きなのですが、和食の基本の味を知ることで、それらを控えめにしても、満足することができます。日本人には長寿が多く、欧米に比べると肥満が少ないのですが、これには日本が育んできた食生活が寄与しているのではないかと考えられています」
食卓に和ごはんを取り入れることで、あらゆる面での学びにつながり、健康にもいい影響がありそうです。また、朝ごはんをしっかり食べることで、勉強やサッカーにより良い状態で取り組むことができ、成績の向上にもつながると言えそうです。
農林水産省のウェブサイトやYouTubeには、和ごはんの献立や郷土料理の情報などが、見やすく整理されています。献立に迷ったら、ウェブサイトで情報収集し、1日のうち1食は和ごはんを食べるようにしてみてはいかがでしょうか? きっと食卓に、新たな彩りが加わることでしょう!
●Let’s ! 和ごはんプロジェクト
●おうちで和食
●YouTube『BUZZ MAFF』チャンネル
●和食ぅライフバランス
サカイクより転載
協力:ロックスタージャパン株式会社