roundabout代表の藤原裕和が語る、アパレルへの飽くなき探究心

創業10年。「その時に自分が好きなもの・着たいもの・見てみたいものを作る」ことをブランドコンセプトに、こだわりあるアパレルを全国展開する『roundabout』(ラウンダバウト)。今回、代表兼デザイナーの藤原裕和氏が、アパレルに人生の全てを捧げてきたワケについて語った。


―藤原さん、『roundabout』を立ち上げたきっかけを教えてください。

藤原:まず、私は大学卒業とともに食品メーカーに勤めたのですが、学生時代から漠然と思い描いていた「古着屋をオープンする」といった夢を諦めきれなかったので、すぐ退職をしました。

―それで古着屋を始めたのですか?

藤原:まず、都内の老舗・古着屋でアルバイトスタッフとして勤務しましたね。それから1年後、都内の別の古着屋に転職をして、憧れを抱いていた店長として働き始めました。


―それから、またなぜ自身のブランドを設立したのですか?

藤原:古着屋で店長とバイヤーを務めていたのですが、店舗経営よりも、新たなモノを「生み出す」「創り出す」ことへの興味が日に日に増していったからですね。その古着屋に4年勤めた後に『roundabout』を立ち上げました。

―ブランド立ち上げは上手くいきましたか?

藤原:私は服飾の専門学校を出たわけでもなく、アパレル界に特別コネクションもなかったですからね。でも、知人の紹介でフリーのパタンナーと知り合うことができたので、見よう見まねで服のデザインをスタートさせました。


―経験がない中で、デザインもですか。『roundabout』は、何をコンセプトに始まりましたか?

藤原:大半のアパレルはシーズン毎にテーマやコンセプトを変えるのですが、私は「その時に自分が好きなもの・着たいもの・見てみたいものを作る」ことを大きなブランドコンセプトにしましたね。

―まず何から作りましたか?

藤原:当時、メンズではほぼ目にしなかったワイドパンツを、ブランドの主軸としました。古着屋時代から自分が好んで履いていたことが影響しています。

―かなりのこだわりを感じます。事業の展開はスムーズにいきましたか?

藤原:大変でしたね(笑)。初めて開催した展示会でジャケット、パンツ、カットソー、シャツなど計6型を用意しましたが、期間が1週間あったにも関わらず来場者数は0人。

―0人から徐々に増えていったのですか?

藤原:運が良いことに、展示会を共同開催したシューズブランドを取り扱うお店のバイヤーさんが『roundabout』に興味を示してくれて、第1号の取引先が決まりました。


―運を引き寄せたのですね。取引先を獲得するために、展示会が1番重要になりますか?

藤原:それだけではないですね。展示会以外では、全国のセレクトショップにアポイントを取り、サンプルを抱えて夜行バスで営業回りを繰り返しました。

―そこまでするものなのですね。全国に行くとなると、出費もかかりますよね?

藤原:ブランド設立のために用意していた資金は1年で底を突きましたからね。

―それで何か手を打ったのですか?

藤原:平日は夕方から朝までアルバイトをするようになり、平日の睡眠時間3時間未満という生活を5年半も続けました。

―凄まじい日々を過ごしていたのですね。

藤原:ブランド維持と生活のために必死にやりました。春夏・秋冬の年に2回、展示会を開催しましたし、夜行バスで全国のセレクトショップにも行き続けました。すると、徐々に取引先も増えていき、アルバイトなしの生活ができるようになりました。


―『roundabout』への想いが強いからこそ、やり続けることができたのですね。現在は、主に何を展開しているのですか?

藤原:『roundabout』設立してから11年目に入りました。今年から『roundabout』よりも安価で手に取りやすい『roundabout 2nd line』を立ち上げて、ECサイト『roundabout store』もオープンしています。

―今後の展望について教えてください。

藤原:全国の取扱い先(卸先)を増やしつつ、現在のお取引き先にて長くお取扱いいただきたいですね。いつかは自分のお店(オンリーショップ)を持ちたいと思います。そのお店では古着も取り扱いたいですね。

―最後に。藤原さんにとってアパレルとは何になりますか?

藤原:アパレルとは「常に自分の探究心を刺激してくれ、興味が尽きることのないもの」です。自分でも何故これだけアパレル・ファッションというものに駆り立てられるのかわかりません。  (了)


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