内田住職(心光寺)が生涯をかけて目指すもの「人々に憩いの場を創りたい」

京都市の伏見区にある浄土宗の心光寺。住職の内田卓宏氏は、建築士でありながら、お坊さんでもあるという。内田氏に自ら選んだ道について、話をうかがった。

―内田さん、なぜ住職になられたのですか?
内田:私の祖父が住職をしていまして、父が後を継ぎ、私がその3代目となります。

祖父が愛知県岡崎市出身でして、京都にて僧侶の修行をして、この心光寺の住職になりました。私が3歳の時に、後継予定者の長男が交通事故で他界し、三男の父が後継予定者として27歳から大学進学して僧侶資格を取得しました。

私が高校2年の夏に祖父が遷化(他界)し、通夜式、葬儀告別式の焼香順は父の次でして、父の後を継ぐことを意識して宗教系の大学へ進学して僧侶資格取得しました。

―宗教業界は、現在どのような状況ですか?
内田:私は、1601年に開山した浄土宗 松本山(ショウホンザン) 清康院(セイコウイン) 心光寺の三十代目となります。

佛教を信仰する宗派が数多くあり、宗派によって事情が異なりますが、核家族化・少子高齢化の問題と、宗教儀式の簡略化の影響を受けていると思います。時機相応の対応が必要だと考えます。

―住職として何がモチベーションとなっていますか?
内田:先代住職である父からの宿題があります。それは、私の代で老朽化した現在の本堂建て替え建設することです。私は23歳から建築設計事務所に勤務し、建築専門学校夜間部に2年通学しました。

―趣味はありますか?
内田:サッカーなどのスポーツをすること、旅行、写真などです。京都の35歳以上のシニアサッカーチームの代表、監督、選手を務めています。

―趣味が仕事に役立っていますか?
内田:はい、役に立っています。趣味のサッカーでは、中学生から80代の方々と一緒にプレーをすることで見聞や人脈が広がり、様々な良い刺激を多くの方々から受けることができています。

―住職として、どのような時に嬉しい気持ちになりますか?
内田:目の前の方に喜んでもらえたときや、自分の存在が何かの役に立ったと実感したときです。

―また、仕事上で大変だったことはありましたか?
内田:あまり大変だとは思ったことがないです。

今年の新型コロナにより、意識が変わりましたか?
内田:自分が多くの人達と関わって生きていることを実感しています。これまで人と会って話をすることを基本としていましたが、今回の件で今まで以上に他の通信方法を活用するようになりました。

―現在、目標にしていることはありますか?
内田:まずは、近い将来に本堂を建設することです。

そして、自分が住んでいる街を、さらに住みやすく安全で健康、更には各世代がそれぞれに楽しく過ごせるように、協力して改良改善に関わりたいです。地域を活性化させて、人々に憩いの場を創りたいです。


―住職を目指す人たちへメッセージをお願いします。
内田:自ら企画して実行すること。多くの感動を自らが体験すること。時代と機根に相応したことをみつけること。以上の3つが大切です。

―内田さんにとって、住職とは何になりますか?
内田:生死と喜怒哀楽を一緒に考えて、より充実した時間を過ごす為に「共に生きる」人生の伴走者となりたいと思います。 合掌

心光寺
住所:京都府京都市伏見区西大文字町955
電話:075−611−0032

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