木下稜介が滝川第二×ナイキ×アメリカを経験して伝えたいこと「僕の武器はドリブル」vol.2

2013年、ナイキが実施した世界規模のサッカー・スカウトプロジェクト「ザ・チャンス」で、世界55ヵ国15万人のプレイヤーの中から16人に選ばれた木下稜介さん(26歳)。高校サッカーの名門、滝川第二高校でFWとして活躍していた木下さんは、サッカー部の監督からの推薦でナイキのプロジェクトに申し込んだという。

木下稜介が滝川第二×ナイキ×アメリカを経験して伝えたいこと「クリスティアーノ・ロナウドに憧れて」vol.1

―高校時代に、ナイキが行う世界規模のサッカースカウトプロジェクト「ザ・チャンス」を受けたのですよね。
木下:漠然とですが、ずっと「海外でサッカーをやりたい」と思っていました。高校のコーチがアルゼンチンでプレーしていたこともあって、いろいろと話を聞いて刺激を受けていましたよね。「監督にナイキのセレクションを受けてみるか?」と言われ、思い出作りにするために軽い気持ちで受けてみました。

―どのようなプロジェクトでしたか?
木下:国内でまず地域ごとにセレクションがあって、僕は関西地区からスタートしました。たくさんの選手が参加をし、基本的なフィジカルテスト、ミニゲーム、紅白戦をやりました。僕は関西予選を勝ち抜いて、国内のファイナルステージに参加する権利を与えられました。


―国内最終予選はどうでしたか?
木下:ファイナルに、各地区の合格選手とナイキスカウトが選んだ選手を合わせた計50名が参加しました。僕はファイナルでたまたま調子が良く、「これで選ばれなかったら、やばい」と思えるほどにゴールを量産しました。

最終選考で、当時川崎フロンターレの監督だった風間八宏さんが、バルセロナで開催されるグローバルセレクションに参加する3人を選びました。僕は無事に3名の中に入り、バルセロナ行きを決めることができました。

―ゴールをたくさん決めて国内予選を突破するとは素晴らしいですね!世界予選はさらにレベルが上がるのでしょうか?
木下:そうですね。世界55カ国15万人から選ばれた100人がグローバルセレクションに参加して、さらに16人に絞られます。その16人がマンチェスター・ユナイテッドやユヴェントスなどのビッグクラブを巡る「スカウティングツアー」に参加することができます。

―15万人の中の100人に入るだけでも凄いことです。グローバルセレクションに参加してみてどうでしたか?
木下:まず外国人とサッカーをするのが初めてでしたし、どのような人達が来るのかワクワク&若干緊張もしていました。ここでも、「まぁ、どうせ合格するはずないだろう」と思って開き直っていましたね。

5日間のグローバルセレクションの会場は、FCバルセロナのトレーニング施設でした。選考方法がポゼッション、シュート、ミニゲームなど基本的な練習と紅白戦となりました。3日間選考があり、1日ごとに人数が半分に減り、また次の日に減っていきます。

2日目にバルセロナが契約しているナイキの選手、イニエスタ、ピケ、ペドロ、サンチェス達と一緒にサッカーをすることができました。パス回しでピケにまた抜きをされましたが、日本人でやられた人はなかなかいないと思います(笑)。

―バルセロナのトップ選手たちとプレーをしたなんて、羨ましい限りですね。日本と世界のサッカーに違いを感じましたか?
木下:日本では、文化的にも丁寧なサッカーをする人が多いと感じています。

「日本人はテクニックがあるけど試合で使えない。」

海外でプレーしている日本人がよく言うことですが、まさにその通りだと思いました。海外の人を見ていて、「あれ、全然上手くない。下手くそ」みたいに思うのですが、いざ試合になるとしっかり点を決めたり、基本的なことはすごく上手かったですよね。

大一番の試合で、スーパーゴールを決める海外選手もたくさんいました。ミスしてもいいからチャレンジをする。自信を持っているからこそ、できることだと思いましたね。

―グローバルセレクションで実力を発揮することができましたか?
木下:最後のゲームを行うグラウンドが、バルサBのホームグラウンドミニ・エスタディでした。W杯の決勝などでも審判をしているハワード・ウェブがレフリーをして、スペイン放送のバルサTVでライブ配信されるほどに規模が大きかったですよね。

僕の武器はドリブルです。目立ってコーチに印象付けることが大事だと思っていたので、とにかく仕掛けてチャレンジをしました。自分のプレーを出せましたが、満足がいかなかったので「落ちた」と思いましたよね。

ゲストで来ていたダビド・ルイスと元フランス代表監督のローラン・ブランが、16名の合格者の発表をしました。「リョウスケ キノシタ」と、僕の名前が呼ばれた瞬間に、嬉し過ぎて頭が真っ白になりましたし、少し時間が経つと嬉し泣きをしていましたね。

次回へ続く。

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